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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
 この方は本当に現(うつつ)の人なのであろうか。
 まるで、既に魂が身体からさまよい出てしまったかのように触れた指先は怖ろしく冷え切っていた。
 夫婦固めの杯に始まり、すべての儀式が滞りなく進み祝言は終わった。四年ぶりに迎えた御台所を前にして、御所内は久しぶりに晴れやかな雰囲気に包まれていた。祝言が行われた大広間ではまだ御家人たちが飲めや歌えやの賑わいを繰り広げているのを尻目に、今宵の主役である新郎新婦は早々と寝所に送り込まれた。
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