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知らなくってもいい性
第5章 久々に
ジー

ジージー

静かな室内に冷蔵庫の微かなモーター音だけが響く。

買い物袋は冷蔵庫だって言ってたな。


「マキが作る飯って本当にうまいよな!!」

マサヒトの笑顔が浮かんでくる。

付き合い始めに家に遊びにきたとき、最近はろくなものを食べてないという彼の言葉から私は少し凝った和食を用意した。

彼はそれが嬉しかったのか、思いっきり嬉しそうな顔をして食べてくれたのだった。

新婚当初も美味しい。美味しいと食べてくれていたけど、今ではそんな言葉は全く聞かなくなっていた。

二泊三日の彼の出張。
久々に食べたなら、また彼の笑顔が見られるかもしれない。
張り切って作るつもりだった。


「逃げよう。」

このままここに居てはいけない気がした。
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