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知らなくってもいい性
第17章 気持ちが揺らぐ

「...この電話は電源が入っていないか、電波の...」

ピッ

やっぱりダメかぁ。

昼ならひょっとしたらいけるかと思ったんだけどなぁ。

もし、浮気がバレて出ていったとしたら何を話すべきか悩む。
それでも昨日、寝る前に思いきって妻の携帯に電話してみた。
が、ダメだった。

携帯が繋がらない...。

「参ったなぁ...」

ため息混じりに事務所に戻ると、事務仕事をしているユイちゃんがちらりとこちらを見て、ツンッとそっぽを向いた。

昨日、メールの返事しなかったこと怒ってるんだろうな。

ああいう分かりやすい態度がまた可愛い。

いやいやいや、俺のそういうとこがダメなんだよな。

席に戻って、書類に目を通しながら、つい他事を考える。

ユイちゃんと付き合って3ヶ月。
一時は妻と別れることも考えていた。

けど...

いざ妻がいなくなって、正直こんなに気持ちが揺らぐとは思わなかったのだ。
昨日の夜はやっぱりユイちゃんとは別れよう。と決めて、今日仕事後に話すつもりでいたのに...。

いざ、ユイちゃんの顔を見るととてもそんなこと言い出せない自分がいる。

3ヶ月も付き合ってるんだよなぁ。
そりゃ、簡単にはいかないよなぁ。

思考が仕事とプライベートを行き来しながら、ただただ時間が過ぎていった。
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