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BlueSpinel~快楽に噎(むせ)ぶ処女姉妹~
第2章 交渉・晶の場合
店から出る。
雑居ビルが並んでいる。夕刻だ。


店外では
晶は男から、三歩分ばかり距離を置く。

仲睦まじいカップルには見えない。
会話しなければ、タダの他人に見える。

もし男が寄ってきたら、露骨に離れる。
密着する必要は無い。
余計なリスクが増えるだけだからだ。

サクラとしての役割(ロールプレイ)は
すでに、後始末の段階だ。


匠海に対しても同様に距離を取った。
そのまま繁華街の方へゆるりと進む。

この段階になったら
もう晶からは男に話しかけないのが普通だ。
あとは店からの連絡が入るのを待つだけだ。

ただ、その時はちょっと気分が違っていた。


「さっき言ってた『妹さん』?あれ、なんですか?」

逆に、匠海に質問していた。

「ああ、何となく、ご姉妹がいるかな……と」

「ちょっと見ただけで、わかるモンなんだねー」

「お姉さんがいるんですね……」

「うん。〇大に通ってるよ♪」

近郊にキャンパスのある、有名女子大だ。

気楽な会話とはいえ、プライベートな情報だ。
姉の通う大学名など、普段は話さないだろう。

姉がいることをポッと指摘されて
つい話してしまった。

だが晶は全然悪びれない様子だ。

匠海の柔らかな物腰や
もっさりとした会話のやりとりから
すでに警戒心は殆ど無かった。

信用しているわけではない。
ナメきっているのだ。

大人しいし、受身で行動する男だろう。それに
身なりはマトモだし、財布もぶ厚いかもしれない。
晶はそんな風に、匠海を観察していた。

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