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秘密にしろよ
第10章 二人の想い
次の日俺は、意気揚々と会社とへ向かう。

けど少しドキドキしていた。

初めてのデートの後だし…初めてのお泊まりの後だし…。

「…おはようございますっ。」

俺は社長室の扉をノックした後、元気良く挨拶をする。

「…おはよう。…良く眠れたか?」

と恭介は椅子に座って俺を眺めていた。

「あっ…はい。」

と俺は何故か顔を熱くした。

…っ…そんなに見るなよ…照れるって。

「…しゃ…社長…今日の御予定は…」

と手帳を開いて、秘書らしく予定を告げる。

「…ん。分かった。…今日も忙しいな。もう少ししたら落ち着くだろう。その頃に…引っ越しの話を進めよう。」

と恭介は優しく微笑んだ。

…恭介…

「…はいっ。」

俺は元気に返事をして、自分の席へと戻った。

ガチャっ…

その時秘書室の扉が開いて、江奈が姿を見せた。

「あっ…おはようございますっ。今から昭島商事様に書類を届けに行って参ります。では…」

と恭介に挨拶をすると、

「…麟太郎…お前も一緒に行ってくれ。一人より二人の方が先方も安心する。頼んだぞ。」

と俺を見つめる。

「…はい。了解致しました。」

と俺は立ち上がった。

…本当にそれだけなんだろうか?

恭介なりに気を使っているのでは…。

そして俺と江奈は社長室を後にした。

社長室を出た所で、

「あっ…社用の車で行きますが…練習致しますか?麟太郎さんは…乗った事は無いのでは?」

と江奈に言われた。

…って言うか…俺はペーパードライバーだし。

「嫌…お前も死ぬかもよ?俺は車持ってねーし。普段運転しないからな…どおする?」

と俺は江奈に笑いかける。

「…ワタクシが運転致します故…」

と江奈は青ざめていた。
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