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秘密にしろよ
第10章 二人の想い
更に俺は言葉を綴る。

「…ごめんな…。俺が恭介にハマらなければ…江奈だけを大切に出来たのに。」

と俺が俯くと、

「いいえっ…分かっていて飛び込んだのは…ワタクシです故…麟太郎さんが謝る事はないのです。…好きだと言ってくれましたので…ワタクシはそれだけで…」

と江奈は微笑んでいる様だった。

でもヤッパリ…少し寂しそうだった。

「…一緒に…住むんだ。恭介と。」

と俺は前を見たまま話す。

一瞬江奈がビクッとした様に感じた。

「あっ…そう…なのですか。」

と今度は明らかに肩を落としていた。

「…嫌…だよな?」

と俺は江奈を見る。

「…いえ…今は分かりかねますが…御一緒に帰ったりしている所を見たりしたら…少し…妬いてしまうのかもしれません。あっ…けど…気にしないで下さい。ワタクシは…大丈夫です故…。」

と苦笑いを見せる。

正直俺は胸が痛んだ。

どちらかを選べと言われたら…今は…恭介だったから。

でもそれは…終わりの見えている恋だった。

だからこそ、今を大事に…恭介と過ごせる時を大切に…したいのかも知れない。

ただそれだけの違いなのかも知れない。

でもそれは…江奈には伝えなかった。

傷付く事が分かっていたから…言えなかった。

ましてや、待っていて欲しいなんて事は…言えるハズもなかった。

待つって…いつまでなのかも分からないし。

「…江奈が俺に逢いたいって思ったら…ちゃんと言えよ。江奈の…好きにすればいい。嫌になったとしても…ちゃんと言えよ。」

と江奈に伝えた。

それが今の精一杯だった。
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