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秘密にしろよ
第10章 二人の想い
あいつ…大人しそうな面して…虫も友達にしてしまいそうな王子様顔しといて…。

人って…見掛けによらないよな…。

けど…ゲイだったにせよ、どう見たって『受け』タイプじゃん。俺がその気にならない限り、大丈夫なんじゃねーの?

…俺は…恭介意外の男に、入れようなんて思わねーし。

恭介がヤキモチなんて…妬く事ない。

今まで通り…きっと何も変わらない。

きっと…。

俺はパソコンとにらめっこしながら、そんな事を考えていた。

忙しいからなのか、俺がトロイからなのか…あっという間に時間は過ぎて、もう帰る時間になってしまった。

「…麟太郎。どうだ…終わりそうか?」

とまだ必死にパソコンに向かっている俺に、恭介が優しく声をかけてきた。

「…っ…。後…少しです。すいません。」

俺は恭介を見ずに、そう応えた。

「…そっか。俺もまだやる事あるから…焦らず頑張れ。」

と恭介も書類を何やらガサガサとしていた。

恭介はいつも優しい。

その優しさが、時々俺を不安にさせる。

…恭介は…無理をしていないのだろうか。

俺は…本当の恭介を…知っているのだろうか。

嫌…俺に本心を見せてくれているのだろうか。

俺は…いつまで…恭介の特別でいられるのだろう。

一緒に住む事は凄く嬉しいけど…直ぐに嫌になってしまうんじゃないだろうか。

「…来週…越してくるか?荷物はゆっくり運べばいい。取り合えずの物だけ持って来い。」

俺は恭介の突然の言葉に、パソコンを打つ手を止めた。

「…うんっ。分かった。」

そう言って恭介を見る。

恭介は優しい微笑みで、そんな俺を見つめていた。
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