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秘密にしろよ
第10章 二人の想い
その日結局2時間程残業して、俺は恭介と一緒に会社を後にした。

恭介が送ってくれる事になり、俺は助手席に乗り込む。

静かに車が走り出すと、恭介の右手が俺の太股に乗せられた。

俺はその手をそっと握る。

「…恭介はさぁ…」

俺は片手で優雅にハンドルを切っている、恭介の横顔に話しかけた。

「…ん?…何だ?」

恭介はチラッと一瞬こっちを横目で見ると、直ぐに正面に向きなおした。

「…城谷くんに…興味ないの?それとも…」

と俺が言葉を少し詰まらせると、

「…一度…抱こうとした事がある。」

と真剣な顔でそう言った。

俺は胸が苦しくなった。

正直…泣きそうになっていた。

聞いてどうするつもりだったのか…。

知らなくても良い事だって…あるんだ。

「…抱こうと…したって事は…抱かなかったの?何で?」

本当は聞きたくない。

けど…恭介の全てを知りたい。

矛盾する心に、俺は微かに手が震えていた。

すると恭介は、そんな俺の手を強く握る。

「…どんな風に感じるのか…興味があった。好きとか嫌いとかの感情はなくて…ただ見て見たかったんだ。けど…」

恭介は前を向いたまま、静かに言葉を綴った。

「…あいつは…俺と同じタイプだった。だから…途中で止めた。…麟太郎なら…合っていたかもな。」

と寂しそうに微笑んだ。

…えっ?!

えーーーーーーっ?!

「って…同じタイプって!…マジか…あんな顔して…」

と絶句していた。

すると恭介は笑いながら、

「…顔は…関係ないだろ。確かに…襲いたくなる様な顔をしているがな。」

と言った。

…襲いたくは…なんねーよ。

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