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秘密にしろよ
第1章 社内恋愛禁止令
俺はある日、イケメン先輩の一人である 速川 海斗(はやかわ かいと)をトイレに呼んだ。

ここが唯一男だけになれる場所。

「…話って何?何か…悩み事?」

と速川先輩は、男の俺でもドキッとする程の色気のある微笑みで、俺の顔を覗き込んできた。

「…あ…あの…あのですね…。」

俺はしどろもどろになりながらも、自分の思いを打ち明けた。

すると先輩は笑いながら、

「…秘密にすれば問題ないでしょ?ここのレディー達は…口が固いよ。」

と人差し指を口に当てていた。

…レディー…って。

「じゃぁ…あの…その…先輩は…秘密で付き合ってるって事ですか?」

と質問をすると、

「…付き合って…はいないかな。まぁ…それなりに…皆楽しんでるよ。君も…秘密で楽しんでみたら?」

と先輩は俺の肩をぽんっとして、トイレから姿を消した。

…秘密で…楽しむ?

口が…固い?

…皆…って。

誰の事言ってるんだろ。

この時点では、まだ理解出来ずにいた。

…変な会社。

今分かっているのは…それだけだった。

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