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秘密にしろよ
第4章 牧瀬 江奈(まきせ えな)の魅力
暫くすると、チャイムが鳴り響いた。

…来やがったな。

俺は重い身体を起こすと、玄関へと向かった。

鍵を開けてそっと扉を開く。

すると勢い良く扉が向こうに引っ張られた。

俺は危うく倒れそうになった。

「お疲れ様です。あっ…入っても宜しいですか?でわでわ失礼致します。はい。あっ…お構い無く。寝ていて下さい。」

となかなか強引に入り込んで来やがった。

「…嫌…いいよ。別に眠くないから。」

とソファに座った。

すると牧瀬さんは、おもむろにエプロンを鞄から取り出すと、慣れた手付きで着けていた。

その際に眼鏡に当たってしまった様で、眼鏡が勢い良く下に落ちた。

「あっ…スイマセン。えっと…あれ?」

と自分の下を探っていた。

…誰に謝ってんだ?ってか…ドンだけ目悪いんだよ?

「…そこ。そこそこ。違うよ…右だよ。…ああもうっ…」

と俺は立ち上がって牧瀬さんの側まで行くと、眼鏡を拾ってあげた。

「…はい。…かなり目悪いんだな?……………。」

と眼鏡を握り締めたまま、俺は固まってしまった。

…お前…誰だよ?

「…あ…あの?眼鏡…返して頂けますか?輪郭が辛うじて分かる位です故。…もしもーし…聞こえてますぅ?」

と牧瀬さんは俺を覗き込んできた。

その上目使いの可愛い事可愛い事…。

何だ?滅茶苦茶可愛いんだけど…マジか?

俺はまだ眼鏡を返さずに、牧瀬さんのひっつめ髪に手をやると、ゴムを引っ張って外した。

サラッと長い髪が、牧瀬さんの肩に落ちる。

「あの?…か…返して下さい。何故にほどかれたのですか?…あっ…眼鏡…とにかく眼鏡をお返し下さい。」

と頬を紅潮させながら、俺の腕を掴んできた。

…ヤベッ…マジで可愛いんだけど。

社長の気持ち…早々と分かったわ。


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