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秘密にしろよ
第9章 新しい生活
「………い…え。…もう…捨てようと思ってたので…ボロくなってしまいました故…」

と顔を附せて、お箸を置いていた。

…っ…何で…

「…江奈!言えよ…本当の事…ちゃんと言えよ。…なぁ?!」

と俺が声を荒げていると、

「…麟太郎…あんまり江奈を困らせるな。」

と後ろから恭介の声がした。

俺は恭介の方を向くと、

「…これっ…恭介は知ってんじゃないのか?!知ってて見ない振りしてんだったら…俺…俺は…恭介なんか…嫌いだ。」

と座布団を恭介に突き付けた。

すると恭介は溜め息を大袈裟に吐くと、

「…麟太郎…勿論知っている。その事については…江奈とも随分前から話をしている。」

と静かに言葉を綴った。

「…はぁ?随分前からなのに…何の解決もしてねーじゃんっ…昨日だって…コイツ囲まれてネチネチ言われてたんだぜ?…それに…」

と俺は社長だと言う事も忘れて、恭介に喰ってかかっていると、途中で恭介は言葉を制した。

「…麟太郎…ちょっと落ち着け。お前が江奈を守りたいのは分かる。しかし…今のお前の考えでは、解決処か更に悪化させるのが落だ。少し頭を冷やせ。」

と恭介は俺を抱きすくめた。

…何だよ…

俺は恭介を突き放すと、

「…わかんねーよっ…。恭介も江奈も…意味がわかんねー。勝手にしろっ。ずっとそうやって…話し合いでも何でもしてりゃいいじゃんっ。」

と俺は捨て台詞を投げつけて、秘書室を飛び出した。

そのまま社長室からも出て行くと、俺は一人7階へと向かっていた。

江奈のされてる事に腹が立ったのは勿論だけど、正直に言うと…嫉妬もしていた。

自分の知らない事を、あの二人は知っている。

もっと沢山あるのかも知れない。

けど今は…とにかくその事が一番嫌だった。
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