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秘密にしろよ
第9章 新しい生活
秘書室で江奈と二人で仕事してると、

「…こっちは終った。そっちはどうだ?」

と恭介が近付いてきた。

俺はハッとして立ち上がる。

「あっ…俺のまだ…後少し残ってます。」

と慌てると、

「…こっちは終ったと言っただろ?大丈夫だ。終わらせておいた。江奈を手伝ってやれ。」

と恭介は笑っていた。

恭介が微笑みながら見てる中、俺達は必死で手を動かす。

「あーっもぉっ…手がモゲソウなんだけど…。お前馬鹿か…こんなの今から、ひとりでするつもりだったのかよ。明日までかかるわっ。」

「…すいませんです…ワタクシもサインがこんなに大変だとは…思いもよりませんでした故…。」

「ウルサイっ…これからは安請け合いすんなっ。こっちが迷惑なんだよ。」

「…はい。申し訳御座いませんです。…本とに…手がモゲソウで御座いますね?」

「お前ひとりでしてたら、絶対モゲテルからなっ。有り難く思えっ。」

俺達がブツブツ言いながら仕事してると、

「くっ…クククク…お前ら…いいコンビだな。……お似合いだよ。」

と恭介は笑っていたが、最後の言葉は少し寂しそうに聞こえた。

「ああっ!!!!終ったぁーっ!!!」

と俺が大袈裟に万歳した。

「…早いで御座いますね?パソコンは苦手な様ですが。」

「ん?何か言いましたかぁ?」

「いえ。…ワタクシも後1枚で御座います。しばしお待ちを。」

「…しばし待ちます故。」

「………ワタクシのマネですか?」

そんなやり取りを、恭介は微笑んで見ていた。


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