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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第1章 2歳児に惚れた男?
三十路女は緻密な計算で、己が最上に愛らしく見えるポーズを取った。
ジュースのグラスを支えていた小さな両手で、龍一郎のシャツの裾を きゅうと握り。
猫っぽい大きな瞳を潤ませると、上目使いに じいと見つめ。
極め付けには、
「……パパじゃ、ないのぉ~~?」
そんな幼女全開の甘ったれた声音で、拗ねてみせれば。
「~~~っっ!? ああ、俺が “パパ” だよぉっ!」
あまりにも簡単に引っ掛かった相手は、ひょいと幼女を抱き上げた。
「パパぁ~?」
「もう “パパ” でいいよぉ~~、ごめんなあ、ココ~~!」
唯一の肉親を失ったばかりのココに同情してか、同じく涙目になって ひしっと抱き締めてきた龍一郎。
その暑苦しい抱擁の中、幼女はにやりとほくそ笑んだのだった。
(は! 男なんて、ちょろいなっ!)