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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第1章 2歳児に惚れた男?
「パパは~?」
「ん?」
人の頭を顎置きにしやがる龍一郎を、若干仰け反り気味に振り返り、問い直す。
「何ちゃい?」
「俺? 18歳だよ~。ちなみに誕生日は、12月25日だ」
(やっぱり、未成年だったか……)
「クリチュマチュ……」
「そうなんだよ~。だからちっちぇー頃は、人よりケーキ食べられる機会が少なくて、スッゴイ損した気分だった!」
そう悔しがる龍一郎は、中身・三十路の女からすれば、どこからどう見てもガキンチョ以外の何者でも無かったのだった。
ようやくダイニングルームへと通されると、広い空間に据え置かれたテーブルには、立派な和会席が用意されていた。
ふんわり香ってくる味噌汁の香りに、思わずぺちゃんこの鼻をスンスンしてしまう。
そういえば、昨夜のポトフは3口しか食べられなかった。
「朝食はがっつり食べるぞ~」と気合を入れたココだったが。
いざ、目の前に広がる数々の料理を目にした途端、何故だか胸が一杯になって。
勧められ箸を付けても昨夜同様、数口食べれば もう食べたく無くなってしまった。
(あれ~……? おっかしいなあ?)
「ココ~。食べないと、絶世の美女になれないぞ~?」
「……う、うん……」
別にそんなものには、なりたくはないが(食べたとしても、なれるとも思えないが)。
小さな顔に戸惑いの表情を浮かべていると、
「ふむ……。鬼瓦さんに相談してみましょうかね?」
そう言い置いて下がって行く山田の後ろ姿に、ココの小さな耳がピクリと反応する。
昨夜も耳にした “鬼瓦さん”。
きっとこの屋敷の料理長なのだろう。
小さな頭の中で “赤鬼の如き容貌” を想像していると。
しばらくして目の前に現れたのは、板前の格好をした強面(こわもて)のおじさんだった。
「……~~っ!?」
(おおっ 鬼瓦の名前に恥じぬ、極悪ヅラww)