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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章 3歳児の憂鬱
「よ~~し。じゃあ、どこに行けばいい、ココ?」
下から上目使いに問うてくるツバサに、いきなりの事で呆気に取られていたココは、取り敢えず「バ、バスルームで……」と答えた。
朝食後の歯磨きをしたかったのだ。
「イエッサー!」
快活に返事したツバサは、迷いない足取りで ずんずんと長い廊下を歩いて行く。
その肩上。
最初は「落ちないか?」と恐々のココだったが。
しばらくすると その楽ちんさと、常日頃の低い視線とは異なる視界に、思わずニンマリしてしまった。
「パンが無いなら ケーキを食べればいいじゃない?」
ならぬ、
「セグウェイが無いなら 肩車させればいいじゃない?」
的な――?
(いやいや。そうじゃないだろ私……。いかんいかん)
どうも龍一郎の “俺様思考” に毒され始めている自分に気付いたココは、そう己を叱咤したのだった。