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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章 3歳児の憂鬱
◆◆◆
大人2人でも余裕で入れる楕円形の浴槽。
全面ガラス張りのそこからは、夜闇にライトアップされた中庭が眼下に愉しめる。
以前はこの場所で ゆったりと1日を振り返るのが、龍一郎のリラックスの時間だったのが。
今は違う――
白濁した湯の中、後ろ向きのココを抱えていた龍一郎は、
目の前にある栗色のつむじに、愛おしそうに唇を押し当てた。
ココがこの屋敷に来た当初。
この様な口付け一つで「うにゃっ!?」「ふぎゃっ」と、子猫みたいな反応で驚いていたが。
それも1月もすれば、幼女は慣れてしまったらしく。
最近はスルーされるので、そうなると龍一郎は余計に構って、その愛らしい反応を引き出したくなるのだ。
誕生日の特別ディナーやバースデーケーキを、頑張って頬張っていた結果、いつもより ふっくらしたお腹。
そこに回していた片手で こしょこしょすれば、「きゃっきゃ」と明るい声で喜び(?)
湯から跳ね上がった10㎝の足裏をつつと撫でれば、くすぐったさにその場でバシャバシャ賑やかに暴れ。
終いには、毬の様な身を捩って こちらへと向き直ろうとしてくる。
湯の中、器用に太ももを跨いでくる、短いあんよ。
己の太ももを押し返す、幼児特有の ぷよんぷよんの尻の気持ち良さ。
そして、自分を見上げてくる一対の瞳。
まあ、ヘーゼル色のそれは、若干 責めている様にも見えたが。
「ココ~~♡」
再度、ぷにぷにの肌を堪能しようと、両手を伸ばせば、
「くちゅぐったいでちゅっ!」
猫の様な真ん丸の瞳が、威嚇する様に眇められた。
もちろん、そんな事をされても可愛いだけで、怖くも何とも無いが。