この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章  3歳児の憂鬱

「ぷっ 「くすぐったいです」だろ?」

「……「くちゅぐ――」……」

律儀に言い直すも、2文字目で躓いたココは、すぐに押し黙り。

不服そうに桃色の唇を尖らせた。

「ん~? チューをお強請りしてるのかな?」

ならば期待に応えようと、頭1個分下にある顔に唇を寄せようとすれば、

広いだけが取り柄の薄い胸板に、モミジの両掌で突っ張られた。

「ねっ 強請ってないでちゅっ!!」

必死の形相で言い募る3歳児の可愛らしさに、龍一郎は本日 何度目になるであろう笑い声を零した。

「あははっ もう、可愛いなあ~、ココ~」

(サトちゃんは「2~3歳児は手が掛かって大変」って言ってたけど、ココは全然そんな事無いし)

癇癪を起こす事も無ければ、我が儘で手を焼かせる事も無い。

未だ口調はたどたどしいが、そのへんの大人の様な一端の会話が出来る。

世の中には、己の子に手を上げる鬼畜な親もいるが。

龍一郎にとっては血の繋がっていないココでも、一緒に過ごした1ヶ月の間に、この上無く愛おしく大事な存在になっていた。

ただ、1つ不満があるとすれば――

「大好きだよ」

そう囁く度に、この子は何故か、困った様に目を逸らす事くらいか。

今も常と同様、戸惑ったようにヘーゼルの瞳を窓の外へと向けたココ。

「ココは? 俺のこと、好き?」

「………………」

「ココ?」

辛抱強く、問い続ける。

6歳からの10年間、自分は訳あって日本を離れアメリカで育った。

そこで世話になった米国人達と接した事により、きちんと言葉と態度にして、互いの愛情を確認する大切さと素晴らしさを、龍一郎は身を以て知ったのだ。

(だからココにも、そう育って欲しいんだけど……)

/99ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ