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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章  3歳児の憂鬱



◇◇◇



一方――


(あ゛~~、びっくらこいた)

泡々になった頭をシャワーで流して貰う間、

目蓋をぎゅうと閉じていたココは、小さな頭の中で先程のやり取りを思い出していた。



『じゃあ、ココの「ちょっとだけ好き」が「大好き」になったら、俺と婚約しようね?』



(凄いなあ……。18でそんなセリフ吐けるなんて、一体どういう環境で育ってきたらそうなるんだろ?)

自分が18歳――高校3年生だった頃を思い起こすも……。

無理無理。

絶対に、そんな歯の浮くようなセリフは吐けませぬよ。

「乙ゲーやりすぎて、とうとう こじらせたか?」って突っ込まれるのが落ちだからね。

まあ龍一郎は婚姻適齢に達しているので、誰かと婚約・結婚しようと思えば可能なのだが。

だからと言って、

「お! 俺もう結婚できる年齢じゃん? おっしゃ、婚活するぞ!」

なんて考えるような男は、ココからしたら大分イタイ輩だ。



精神年齢が物凄く幼いのか? 

4歳児あたりが「大きくなったら ケッコンしようね♡」とほざくのと同じ?

それとも、金持ちには金持ちの暗黙の了解みたいなのがあって、

「18歳になっても許嫁がいらっしゃらないなんて、あの子 不能なのかしらん?」

等と、上流社会での陰口の餌食になるのだろうか?



そんなどうでもよい事を思っている間に、髪は洗い終わったらしく。

「はい、身体洗うから、ばんざ~~い」

泡モコのスポンジを手にした龍一郎が、ココを促してくる。

187cmの男が椅子に座った前に、90cm未満の幼女が立ったら……視界に入るよね?

入るんだよねえ、とほほ。

あ、今「何が?」なんて “かまとと” ぶった そこの女!

教えてやっから、耳の穴かっぽじってよく聞けよ?

じゃなかった。

目蓋擦って目を皿にしてよく見ろよ?



そう――

“男性器” が視界に入るんですのよ、おほほほ。

まあ、お下劣……orz


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