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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章 3歳児の憂鬱
「しょういえば……パパ、学校は?」
今は9月頭。
学生諸君は そろそろ天国という名の夏休みを終え、地獄(?)の学校生活へと戻る頃ではなかろうか?
ぬ~んと仰け反りながら、後ろの龍一郎を見上げれば、
「学校……? そんなもの、とっくの昔に卒業したぞ?」
きょとんと見下ろしてくる男に、丸っこい瞳がぱちぱち瞬く。
(うん……? あれ? 18歳って確か、高校3年生だっけ?)
頭を元に戻し、小さな手で指折り数えるも。
「……ふえ……? ちゅ、中卒?」
18歳の9月時点で「とっくの昔に卒業した」という事は、
つまり、
うん、そういう事だよね――?
だよねえ?
(え゛ぇ~~っ こんな富豪の中卒とか、ありですかい?)
しかし降ってきた返事は、ココの予想とは違っていた。
「なにそれウケるw」
「……へ……?」
きょとんとするココを持ち上げた龍一郎は、自分の方へ向けて抱き直し。
やや奥二重の瞳で、面白そうに見下ろしてくる。
「大学院の博士課程まで出てるよ」
「……はひ……?」
変な相槌を寄越す幼女の ちっちゃな鼻を摘まんだ男は、苦笑しながら続けた。
「もちろん “スキップ” でな?」
「………………?」
“スキップ”……?
え? スキップ?
……っ はぃいいいい~~っ!?
ちょっと待ってっ!
一体何歳で大学に進学すれば、こんな若造が博士になれる訳っ!?