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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章  3歳児の憂鬱

無駄に長い空色ドレスのスカートに、収穫した実を乗せ。

そのまま料理長の鬼瓦に届けに行き(本日も任侠臭が半端なかった)

時間を持て余したココは、屋敷内をブラブラしていた。



2ヶ月この屋敷に滞在して解った事だが、龍一郎には少々人間嫌いなところがある。

と言うのも、誰かが屋敷に訪ねてくると□の字形の屋敷が、

左側・居住空間 と 右側・接客空間とに、防火壁らしき壁で完全にシャットアウトされるのだ。



ちなみに――

誤解を与えぬ様に追記するが「幼女を拉致監禁している事実(?)を隠蔽する為」では無い。

ココがこの御手洗家に来る以前から こうなのだ。

――あしからず。



てな訳で、ココは対外的な場所には行けないようになっている。

そして来訪者も、一歩たりとも左側・居住空間に足を踏み入れられないのであった。

(まあでも、屋敷の皆には気さくだし、皆もパパの事、慕ってそうなんだよな~)

ココの養父である山田も「また、坊ちゃんは……」と龍一郎の奇行に手を焼きながらも、満更でもなさそうなのだ。

「しかし、暇だにゃ……」

数刻前にプー太郎と判明した龍一郎の姿は見当たらず、暇を持て余していると、

「あ……!」

“格好の暇潰し” を思い付いたココは、短いあんよで いそいそと行動に移す事にした。

格好の暇潰し = 屋敷の右側の散策

どうやら本日は来客が無いらしく、右側に通ずる廊下にはドでかい壺が置いてあるだけだった。

以前、気になって山田に尋ねてみたところ、どうも屋敷の右側には “お掃除ロボット” がいるのだそうだ。

確かに、こんなに巨大な屋敷を、山田・ツバサ・鬼瓦(料理人で戦力外) の3人で維持運営するのは かなりの重労働だろう。

小さな頭の中、ルンバみたいなロボットが健気にお掃除している様子――を想像したココ。

3歳児らしからぬ にたあと悪い笑みを浮かべた幼女は、

照明の灯されていない薄暗い廊下の先へと、スキップで潜入して行くのだった。





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