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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第2章 3歳児の憂鬱
腹の底から絶叫したココは成す術無く、その場に へなへなヘタリ込んでいた。
(……なっ!? な、何なんだよ、こいつはぁ~~っ!?)
2m近い巨大なソレは、まるで石ころでも見下す様に無機質な瞳を向けて来る。
その姿は、一種異様で。
白とグレーのツルペカボディーに、古き良き母が好みそうな白の割烹着を纏い。
四角頭に真ん丸の目だけがある頭に、三角巾を付け。
極め付けには、右手にホコリ叩き、左手にマツイ棒を握り締めた やる気満々の武装姿。
「……ミカクニンセイブツ ハッケン」
2つの目しか見当たらぬ異形の者から発せられた言葉に、「ふぇ……?」と情けない声を漏らすも、
こちらの状況は完全無視のそいつは、両目から青い光を照射し始めた。
「ひぃっ!?」
(なにっ!? なに、こいつ……っ??)
「カオニンショウデータ ケンサクチュウ……」
その青い光はココの小さな顔をスキャンする様に、何度か往復していたが。
しかし、
「ピゴーン!」
顔認証データの検索結果が出たのか、そう警告音を発した巨大物体から発せられたのは、
「テキゴウデータ ナシ」
そんな無情な結果だった。
その途端、ホコリ叩きとマツイ棒を後ろに放り投げたそいつは、未だ廊下に尻餅状態のココへと両腕を伸ばしてくるも、
「ふっ ふにゃぁ~~~っ!?」
驚嘆したココは、脱兎の如く 廊下を逃げまどい。
結果――
「ミカクニンセイブツ ホカク」
30秒もしない内に己を捕獲してしまった、どこからどう見ても “お掃除ロボット” をめい一杯睨み付けた。
「~~っ!? どっちが “未確認生物” じゃ~~っ!!!」
しかし、ココの突っ込みなど我関せず。
「ゴシュジンサマ トドケル」
くるりと方向転換したロボットは幼女を小脇に抱え直し、2足歩行で歩き始めた。
「ワタシ イイロボット。ゴシュジンサマ ヨロコブ」
そんな意味不明な独り言を呟く そいつに対し、
地上1.5mの高さで荷物の様に運ばれ、階段を下りられたココは その恐怖に「ギャ~ギャ~」喚き続け。