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いろはにほへと ~御手洗家の10の掟~
第4章 5歳児は達観する
成人した男の腕の中、逃れる術も持たぬ5歳児は、己の不手際を激しく後悔するしかない。
(こ、これじゃあ “やぶへび” じゃないかぁ~~っ!!!)
ココはただ、龍一郎に年相応の女性を薦め、
今の状態――5歳児に懸想している現状を「異常」と気付いて欲しかっただけなのに。
なのにその結果、更に自分への関心を深めてしまったこの顛末に、
小さな顔を真っ赤にしたココは、頭の中でドスドス地団駄を踏むしかなかったのだった。
そして――
ここに世話になり始めた頃、龍一郎が勝手に定めた “御手洗家 家訓”
【その1 おはようのチュー & おやすみのチュー】
【その2 3食のどれかは一緒にとる】
【その3 一緒にお風呂に入る】
今までのその3つの中に、新たに下記が追加される事と相成ってしまった。
【その4 子供は一人で出掛けない(誘拐されるから)】
龍一郎からの昨年のクリスマスプレゼント――子供用自転車(補助輪付き)で、最近 行動範囲が広がってしまったココが、
知らず知らず1人で山を下り、悪いロリコン野郎にかどわされぬように!
というのが、その理由らしいのだが。
「………………」
(私の目の前にいるこの男が、一番 最恐のロリコン野郎の気がしてならないのは、気のせい……か?)
新たに付け加えられた家訓に両腕を組んだココは、その年には似合わぬ小難しい表情を浮かべていたのだった。