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義父との秘密
第2章 ある夜から
 和美は足掻くのをやめ、この浴室とあの部屋の忌まわしい関係を考えはじめた。


「ほほう、大人しくなったな。この風呂場とあの部屋はな、裕美と俺の秘密でな。この家を立てた時に、あらかじめ作っておいたのさ。忠雄は生まれた時からこの家にいるが、まったく知らないよ。」


「まさかあの、それって、あの、、お義父さまとお義母さまが、その、そういう、ご関係だったのですか?」


「ほうほう、その通りだ。まっ、裕美は身体が弱くてな。あまり、可愛がってはやれなかったがな。くくくっ、いやになったかな?それとも、忠雄にしゃべるかね?」


「いえ、あの、身体洗いたいんですが?」


「うん?そうだったな。」


 和美の中に凶々しい(まがまがしい)情景が広がり、激しい嫌悪と恐怖が彼女の心を支配した。


(さてさて、この娘がどうでるか?楽しみだな。今の混乱が過ぎたら素直になるか?この家から逃げだすか?いや、素直にゃならんだろうなぁ。忠雄にゃとぼけて、かな?まっ、どうなるかはこの娘次第だな。)


 和美の恐怖と混乱を楽しむように、眺めながら彼女の身体を放した。
 白い裸身が凍結したように浴槽にうずくまり、動かなかった。


「和美、身体を洗うんじゃなかったのか?」


 彼の言葉など聞こえなかったように、じっとうずくまっていた。
 仕方がないなぁと、忠良は冷たいシャワーを彼女の頭から浴びせた。


(えっ、えっ、なに?冷たい、あったかい?うそ、ここ、、そう、だったわ!)


 彼女の心に感情が戻った。


「冷たい、やめて、冷たい!」


「ボウッとしてたな。身体を洗いなさい、和美。」


「えっ?はい、、」


 ノロノロと和美は、浴槽を出て身体を洗い始めた。
 ボディソープで泡だらけの身体を、冷たいシャワーで洗い流す頃には、今夜の出来事と今いる場所の関係が恐怖と共に、和美の中に蘇った。
 そして、首にかかる黒い首輪がそれらを事実だと認識させた。


(どうしよう?今のままじゃ、逃げられないわ。でも、逃げなきゃ。そのために、でも、今は、それしかないわ、、)


 和美の心を読んだように、


「和美、ボディローションをとってくれ、目の前にあるだろう?」


 忠良から、おぞましい一言が発せられた。


「あの、ボディローションですね?」


 彼女は目の前のシャワー容器を差し出した。
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