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義父との秘密
第2章 ある夜から
 ドアを開け和美が部屋に入ると、


「和美さん、ありがとう。いつも、お世話をかけるね。」


「そんな、嬉しいです。」


 忠良は、思い出したという風に、


「和美さん下に降りる時に、棚の上の袋、捨てておいてくれるかな。」


「あっ、はい、これですね。」


「うん、それだ。よろしく頼むよ。」


 和美は無造作に袋をつかむと、中身を確かめずに下へ降りた。
 忠良は和美が降りたのを確かめると、パソコンを開いた。


「さて、あれをどう処分するんだろう。気にはなるなぁ。少し様子を見るか?」


 忠良は、つぶやくように言いながら、パソコンの画面を見つめた。
 和美は台所のごみ箱のフタの上に、例の袋を置き、コーヒーを楽しんでいた。


「明日はゴミの日だったわ。後であの袋を分別しなきゃいけないわね。」


 そうつぶやきながらごみ箱の上の袋に目をやった。
 袋の口が開き、中身が少し頭をのぞかせていた。


(えっ、ピンク?プラスティック、かしら?でも?)


 和美は中身を確かめようと立ち上がった。
 立ち上がると、より中身がハッキリと見えた。


(うそっ、そんな!うそでしょ、お義父さまが?まさか?)


 中身をハッキリと確かめようと、和美はごみ箱へ近寄った。 近づくに連れ、和美は心臓がドキドキとするのを感じた。
 そして、彼女が袋の真上から中身を確かめた瞬間、身体が硬直し、


(うそでしょ、お義父さまが!でも、男、よね?でも、なんで、淫らしい(いやらしい)!)


 ゆっくり、振り返り、テーブルへ帰り、コーヒーを一口含んだ。
 コーヒーを飲み終わり、カップを片付けはじめると、トントンと忠良が降りて来る音がした。


「お先に風呂に入るよ。」


「あっ、はい。ごゆっくり。あ、あの袋は捨てれば良いんですね。」


「んっ?あの袋かね。君の好きなように処分してくれれば、いいよ、和美さん。それと、これも処分しておいてくれるかな。」


 忠良は無造作にコーヒーカップとさっきの袋と同じような袋を和美に渡し、浴室へ向かった。
 受け取ったコーヒーカップを流しに置いたとき、微かにくぐもった音が袋の中から聞こえた。


「えっ、なんの音?うそっ!」


 新たにもらった袋の中を、恐る恐るのぞいた。
 赤い楕円形のプラスティックが細かく震え、小さな唸りを上げていた。
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