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義父との秘密
第3章 柔肌の疼き
「ふむ、経済団体のパーティーかい?時間は、わかるかね?」


「はい、午前十一時までにはお迎えに伺います。ご自宅でよろしいのでしょうか?」


「あぁ、そうしてくれるとありがたい。そうそう、神崎君、迎えは君に頼むよ。明日は和美も出席させるからね。」


 忠義の顔に悪魔の微笑みが浮かんだ。


「えっ、和美さんも?あの、お披露目なさるんですか?」


 麻奈美が唇を噛みながら聞いた。


「ふむ、秘密を少しづつ明かしてやるころだと思ってな。それと、麻奈美、婚約者を連れてくるんだ。いいな。」


「えっ?あの、私のですか!」


「あぁ、将来のある青年としてね。顔繋ぎをしておくことも、大事だからね。それと井上君は、会場へ直接来なさい。新しい秘書として紹介しなきゃならんからな。」


「えっ、私も、ですか!」


 冴子が素っ頓狂な声でこたえた。


「あぁ、神崎君についてパーティーで勉強してもらう。」


「あのぅ、パーティーの衣装なんて、なにを着ていけばいいのか?」


 戸惑ったように冴子が聞いた。


「その心配はいらない。衣装は神崎君が用意してくれる。裸で来ても大丈夫さ。会場に行って社名と名前を言えば、手配してあるから大丈夫だ。」


 冴子が不承不承という感じで、うなずいた。


「車を正面に回すように、手配をしてくれ。できたら、教えてくれるかね。」


「はい、承知しました。」


 二人の秘書が同時に答えた。
 五分もすると冴子の机の電話が鳴り、車が正面に着いたことを知らせた。


「お先に失礼するよ。それと麻奈美、明日の夜は例のホテルの手配を、一週間だな。」


 麻奈美が悔しそうに小さくうなずいた。
「それでは社長、明日は十一時にはお迎えにあがります。」


「あぁ、よろしく頼むよ。」


 そういうと麻奈美の返事を待たずに、部屋を出て行った。
 車に乗り、


「河津君、家へ行ってくれるかな?」


「はい、ご自宅ですね。かしこまりました。」


 運転手の河津は忠義の正体を知る数少ない一人だった。
 自宅に着くと、リビングの明かりがついていた。


(食事中かな?まあ、今夜は静かに寝かせてやるか?明日からは、そうは、いかんがな。ふふふ。)


 忠義の顔に黒い微笑みがひろがった。


「ただいま、おぉ、まだ食事中だったんだ。忠雄、寛いでるな。」
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