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義父との秘密
第3章 柔肌の疼き
  十一時少し前に秘書の麻奈美から、連絡が入り忠義はリビングへ降りると、すぐに玄関のチャイムが鳴った。
 先にリビングで待っていた和美が出ると、


「はい、藤原ですが?」


「秘書の神崎です。社長をお迎えにまいりました。」


「玄関、開いていますので中におはいり下さい。」


「では、お伺いします。」


 秘書の意外に若い声に驚きながら、和美は和服のチェックをしていた。


「和美、綺麗だね。どこに出しても恥ずかしくないよ。」


「えっ、ありがとうございます。嬉しい。」


(馬鹿っ、なに嬉しがってんの!こんなやつのお世辞に、、いえ、忠雄さんの晴れ姿よ、そのためよ。)


 麻奈美が青いスーツで現れると、


「社長、パーティーの後の予定は手配をすませましたので、彼のこともありがとうございます。」


「うん、婚約者には悪かったかな?井上君は会場かね?」


 冴子の名前が出ると麻奈美が唇を噛んだ。


「はい、冴子さんは会場で社長をお待ちしています。」


「そうか、なら行くかね、和美。」


 えぇ、と小さくうなずくと、忠義と秘書のあとに続いて玄関を出た。


(えっ、なに?この車!凄い!)


 思わず叫びそうになる口を慌てて、和美は手で抑えた。
 忠義に続いてうながされるまま、和美は後部席に乗り込んだ。


「驚いたかね、和美。」


「えっ、えぇ、この車はお義父さまの?」


 国産の最高級のサルーンだった。


(なに、この車?どんな会社なの?)


 秘書に勧められ、忠義の横に座った。


「まあ、会社のだよ、社長専用のね。私の個人会社だからなあ。会社のことは秘書の神崎君に任せてあるがね。」


 言いながら和美の膝に彼の手が置かれた。
 和美の脳裏に悪夢が甦った。


(いやっ、だめっ、やはり、この男は!)


 しかし、同時に和美の身体が熱く火照り、思わず唇を噛んだ。
 固く膝を閉じ、バッグで腿を押さえ身構えたが、義父の手が一瞬早く着物のすそから侵入した。


「あっ、あの、お義父さま、オイタはいけませんよ。」


 勇気を振り絞って声に出していた。
 しかし、義父の手は微妙にすそから膝へ、ゆっくりと感触を楽しむようにうごいた。


「和美、オイタかね。ふふふ、やめてあげてもいいがね。」
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