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義父との秘密
第5章 柔肌地獄
 和美は忠良を憎しみのこもった瞳で、ハサミを握り締めた。


「まったく、オシャブリもできないのか?仕方のない牝犬だな、和美。」


 床から起き上がりながら、和美はハサミで首輪を切り、左手で隠しながら、


「お義父さま、すみません。」


 謝りながら、後ろに半歩下がった。


「不服そうだな、和美?不満があるなら、どうするね?」


(ふふ、ここまで追い込んでやれば、逃げ出すかな?)


 忠良が立ち上がると、和美が部屋の端まで走り、ハサミを忠良に向けた。


「何もかも、不満よ、誰があなたの思い通りにさせるもんですか!」


 そう叫ぶと、和美は着るものを適当につかみ羽織ると、ドアを開け、廊下へ飛び出した。


(うまくいったわ、早く逃げなくちゃ!)


(あらま、開かないドアが開いたことにも気がつかなかったのか?すぐに戻るのにな。)


 目の前のエレベーターが開くと、和美に絶望が待っていた。
 二人の秘書が彼女の両手をつかみ、引き摺っていった。


「やめて、放して!いやっ!」


 引き摺られながら、悲鳴をあげる和美に、


「あなたは、分かっていないわね和美さん。社長に選ばれるってことが、どれだけ名誉なことか!」


「先輩、この人には先生の素晴らしさが分かっていないんですね。私達みたいに経験してるのに?考えられないわ。」


「だから、私達を呼んだのよ、冴子。中に入りましょ。」


 麻奈美と冴子の冷めた言葉が和美の背筋を凍らせた。


「社長、遅くなりました。和美さんをおつれしました。」


 部屋にはいると、二人とも深々と頭を下げた。


「麻奈美、冴子、予定より早かったね?でも、調度よかった、聞き分けのない牝犬が逃げ出したところだったんでな。後でご褒美をやる。」


 二人の秘書の顔がパアッと明るくなった。


「ありがとうございます、先生。嬉しい、今日は何もないことを、覚悟していましたので、、。」


 麻奈美と冴子の中に喜びが爆発していた。


「ヨシヨシ、二人とも汗を流しておいで、聞き分けのない牝犬を木馬に座らせてからね。」


(えっ、木馬って?なんなの?いやっ!)


 聞き慣れない木馬という言葉を聞いて、和美の中に恐怖がわき起こった。
 和美を引き摺りながら冴子が、


「木馬ってイロイロあるんですね。」
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