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春うらら
第13章 それぞれの週末~誠~
・・・薫さんだった。すげー嫌な予感・・・店は?今夜、彼女は来てないのか?

「違います。」とはっきり答える。傍で女が「そんな、はっきり・・・」と涙目で俺を見上げて腕にすがりつく。
薫さんはニコリと笑いながら、
「せっかくのイケメンが引き攣ってるよ・・・なかなか熱烈なアピールだね。俺的にはライバルが一人減ってラッキーだけどね。」
と素敵な笑顔で答える。ついムカついて
「おい、背が高くてカッコいいのがいいなら俺よりこの人にしろよ。俺は迷惑だ。」
と薫さんに向けて女を振りほどこうとした、その時・・・

「誠さん?」と彼女が薫さんの後ろから姿を現した。

とっさに薫さんは彼女を抱き寄せ自分の胸に包み込んだ。
そのまま女に向かって
「ごめんね、俺はもう売約済み」と笑顔で言うと彼女のおでこにチュッとキスをする。

状況が呑み込めず驚く彼女?薫さんの腕の中から薫さんを見上げると、「もう、またすぐ勝手なことばっかり言って」と笑っている。

改めてこちらを振り向くと、女の存在に気付き慌てて「ごめんさない」と謝る。
「デートですか?薫さんったらすぐからかうんだから、ごめんなさい。彼女さんとの時間、邪魔してしまって、誠さん気を悪くしないで下さいね。」と申し訳なさそうに言う。
「彼女じゃない、駅まで送るように頼まれただけ。」とさっと腕を振りほどく。

腕をほどかれた女は呆然として彼女と薫さんを見つめている。


っていうか、ガン見してる。なんだ?こいつ・・・

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