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春うらら
第13章 それぞれの週末~誠~
「その入学式の日に私がケガをしてしまい・・・入院しました。
直後は私自身も意識のない状況が続き、結局、会えず、自分では連絡も出来ない。
入院とリハビリがかなり長期になる為、学校も転校・・・
スイミングスクールも退会して、治療に専念する為に両親や兄弟が手を尽くしてくれたそうです。
私の交友関係はお兄ちゃん子だったので少ないだけでなく兄の友達以外はほとんどいなくて。
ケガした状況も特殊だったので皆、暗黙の了解で状況を知っている人以外には絶対誰にも話さない、いろんな噂が飛び回っている中、千景も何度か病院にお見舞いに来てくれたんだけど、私は治療とリハビリで、友人を認識できる状況ではなくて・・・何よりも精神的なダメージが大きな怪我でしたから・・・
そんな時にお医者様から『しばらく、落ち着くまで入学式を連想させるものを排除してみるのも必要かも』と言われて、病院もこちらのほうに転院して以前の友人達の見舞いも断る形の治療に変更したの・・・
ごめんね。・・・突然消えて、でもおかげでこんなに普通になったよ・・・もう少しで通院も終われると思うんだけど・・・ごめんね、ちぃ。
でも今日会えて嬉しかったよ。」
と優しい目で彼女を見つめる。千景は静かに首を振りながら涙をためた。