この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
春うらら
第16章 それぞれの週末~武志・カリン~
「会場は、『静香』という小さな割烹なのですが・・・隣県の」
「「えええ!『静香』???」」俺とルイが同時に叫んだ
淡々と話すが『静香』といえば予約を取るのも大変と聞いたことがある。あまり大きな旅館ではない、元は旅館ではなくいわゆる割烹料亭だったとか・・・ホテルに勤めていると特によく聞く名前『静香』・・・
『一度は行って来い』というのはうちのマネージャーと支配人の口癖。
「ご存知ですか?」麗の兄が少し嬉しそうに微笑みながら答える。
「もちろん、これでもホテルで働いていますから。噂はいつも耳にします。」
「確か、なかなか予約が取れない、すごく人気のある旅館だと・・・」
俺とルイが口々に褒めるのを本当にうれしそうに聞いている・・・にしても『静香』に行ってくるといえば間違いなく仕事のシフトは休みが取れるなぁ・・・しっかり学んで来い!って頭の中で支配人の声がする。
「実は『静香』は、私たちの母が女将として切り盛りしております。予約が取れないのは、部屋数が少ないからです。」
と、姿勢を正しながらきりっと引き締めた表情で返事を返された。
っていうか、母親が『静香』の女将???
つまり・・・彼女は・・・
「お察しのとおり、麗は大学を卒業したら若女将として『静香』を継ぐ者となります。」
「「・・・・・・・」」