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春うらら
第6章 2次会
彼女はローテーブルについた片山の手を握って立ち上がると…片山の隣へ…

握っていた手を裏返し、片山の手首に鼻先を近づける…クンクンと手首からゆっくり上昇して…二の腕まで匂いを確認している…

と、次は片山の胸に鼻先を当てる、あ、抱きしめられそう…なんて俺の心配をよそに彼女は真剣な顔で匂いを確認してる。

そして片山の両肩に腕を乗せおもいっきり背伸びをして、首筋に抱きつくように耳の裏に鼻先を持っていきしっかりと匂いを確認して離れた。

片山の首筋から顔を離すと、悠太に
「今日、ご一緒だった人ってうちの大学の人ですか?」と聞いた。裕太が頷くと、はぁとため息をつきながら片山に向き直る。



「ルイさん、残念ですけど…ルイさんとは付き合えないです…」
「残念?何で?いいじゃん…残念って思うくらいなら俺のこと嫌いじゃないんでしょ?」

なんだか、わからない状況…坂口さんも圭太さんも呆気にとられながらも楽しそうに見てる。
にしても、彼女は彼氏選びの基準が『匂い』なのか?
「…匂いで選ぶ?」あ、声に出てしまった。

「匂いは大事です!」と彼女は胸を張った…
「ルイさんの匂いは好きなんですけど…今日一緒だった人が苦手なんです。今日一緒だった人ってドイツ語の授業が終わるのを待ってる女の子でしょう?」

びっくりした二人…そして大笑いする坂口さん…

「何?彼女持ちなの?」圭太がなーんだがっかりなんてふざけながら肩をすくめてみせる。

おいおい、どれだけ嗅覚すごいんだよ・・・匂いで一緒にいた人間を識別するのか?
「犬みてぇ…」あ、また声に出てしまった。俺のつぶやきに坂口さんはさらに大笑い。

「彼女じゃないよ?付きまとわれてるだけだから安心して、ね?」

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