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さぁ、お嬢様、乱れましょう
第2章 Un oeil de butler-一人目の執事-
なぜこんなキスをするか…そんなの分かるはずない……。
意識が朦朧として、涙目になる瑠璃奈の姿は、男を誘うには十分なものだった。
だが篠宮伊鈴は理性を保ち、冷静に問う。

「…わかりません!」

瑠璃奈はキッと睨みながら、そう答える。
その姿はまるで軟弱な子猫のようで…。

「フッ…答えをお教えしましょう。
 あなたが…瑠璃奈が私の名前を呼ばないからです」

また意味の分からないことを!
名前なら呼んだ…”篠宮伊鈴”と。
それ以上になにを求めると言うのだろうか。

「伊鈴です。
 そうお呼び下さい」

なぜ主である私が命令されているのか不思議でならない。
…それに、(瑠璃奈からして)そんな大胆なことは出来るはずがなかった。
これは後に瑠璃奈を苦しめる原因となる。

「…それはできません!
 苗字でいいでしょう?」

正論だ。
”執事に対して名前で呼ばなければならない”
なんてルールはないのだから。
考えてみれば、さっきから私の名前を呼び捨てにしている。
”主の名を呼び捨てにする”
このほうがよっぽどルール違反だ。
そして今の一連で分かったことが一つ。

「…私、あなたとの相性が悪いみたいです」
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