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流れる星のように
第2章 母と姉
幸恵が退院の日になった。

田村は幸恵の荷物を持ちタクシーに乗った。

「幸恵ちゃんの住む家だよ。」
幸恵は父親のいる家に帰るんだと思っていたが
田村の勤める病院の隣駅の駅近くの部屋だった。

二つ部屋があり、一つの部屋にはベッドが置かれ
ベッドの横にはベビーベッドがあった。
そして鏡台とタンスがあった。

幸恵は驚き
「え?私が住むの?」

赤ん坊を抱きかかえながら、部屋を見渡していた。

幸恵は田村に何度もお礼を言い、赤ん坊をベビーベッドに寝かせ、台所に行ってみたり、トイレのドアを開けたり、お風呂までついていたのに驚いた。

「幸恵ちゃん、寝ていないとダメだよ。まだまだ回復していないんだから。」

すると、玄関から声がして
60過ぎくらいのお婆さんがきた。

「幸恵ちゃんの世話をひと月してくれる人だよ。」
優しい笑顔の年寄りは、赤ん坊を見にベビーベッドにいった。

「なんて、綺麗な子なんでしょう。」
そう言って赤ん坊を抱き上げた。

「幸恵ちゃん、横になって。」
田村はベッドの布団をめくり、幸恵に促した。

「ありがとうございます。ありがとうございます。」

幸恵はベッドで横になった。

田村は安心したように
「よねさんに何でも言って。また、夜に来るから」

田村はそう言って病院に出掛けた。

幸恵はそのままベッドで眠りについた。

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