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流れる星のように
第4章 矛盾
「先生!」
流星が振り返ると、まりが流星に向かい走り寄ってきた。
そして、流星に抱き付いた。

「先生、元気だった?」
まりは蔓延の笑みだった。

流星は、
「ああ。」
と答え、抱きつかれたまりの腕を解いた。

流星はそのまま病棟に消えた。


まりは、流星のアパートの前で待っていた。
流星はまりの姿を見つけると、表情を変え無かった。

まりは流星について部屋に入り込んだ。

部屋は変わらなかったが、可愛いクッションに可愛いスリッパがあった。
女性の気配がした。

「先生、恋人ができたの?」

「できてない。」
流星はボソッと答えた。

「じゃ、このクッションは先生の趣味?」
まりはクッションを手に取り流星に見せた。

流星はまりをチラリと見て
「用事は?」
と尋ねた。

「先生、私いいなずけがいるって言われて、まだ婚約めしていないから、いろんな人とセックスしたの。でもね、全然気持ちよくなくて、感じないし楽しく無いの。先生とだけしかダメなの。先生とまたセックスしたいって思ったの。」

「バカかお前は…」
流星は鼻で笑った。

「先生じゃらなくちゃダメなのか確かめたいの。いいなずけと結婚して感じないで一生セックスしていかなければならないなんて堪えられないわ。」

「悪いけど無理。俺にも選ぶ権利はある。帰ってくれないか?」

冷たい流星にまりは悲しくなった。

「そんなに冷たく言わなくても…もう死にたいわ…私。」

流星は『死』という言葉に反応した。

「まり!死にたいなんて二度と言うな!自分から死ぬなんて事はするな!」
流星は怖い顔をし、まりに言った。

まりは流星の迫力に驚き、自分の言葉に反省したが、
「好きでない人としか死ぬまでセックスしなくてはならないなんて…先生ならどうする?私だってもっと恋をして、好きな人とセックスしたいわ…死にたいのは本当よ。絶望しか頭に浮かばないもの。」

まりの悲しそうな瞳が、緑の悲しんでいた瞳に思えた。


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