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Blindfold
第9章 本物
「………おはよう」
辛うじて掛けた言葉。
そして、ベッドについている机の上にカフェラテを置いた。
「ありがとう」
返事は
機械ではなく
紛れもなくお姉ちゃんから発された。
私は、ビニールに入ったストローを取り出して、カフェラテに挿し、お姉ちゃんに渡す。
ずっと動かしていなかったからか、大きく腕を震わせながらお姉ちゃんは、ストローを口にくわえた。
ゆっくりとカフェラテが上がって
ゴクリ…と喉がなる。
甘ったるい
カフェラテ。
私は好きじゃない。
「………2年経っても、味は変わらないみたいね」
「…………」
「おいしい……」
そう言って微笑むお姉ちゃんに微笑みを返す。
彼女は
紛れもなく
本物の
薫だった。