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Blindfold
第9章 本物
「なんか…あったのか?」
「…………こんな風に重ねたら、グラス割れちゃいますよ」
「あぁ……悪りぃ」
誤魔化しながら、淡々と作業を進めていく。
お客がどんどん帰っていく。
そしてついに私と店長だけになった。
同じ場所なのに、まるで違う空間のようなその空気。
テーブルを拭いて、椅子をあげる。
すると、まだテーブルに残っていたグラスが落ちて、派手に音を立てて割れた。
「あ………」
粉々になったグラス。
しゃがみ込んでその破片を掴んだ。
「おいっ……大丈夫か!?」
裏で作業していた店長が駆け寄ってきて、私のそばにしゃがんだ。
「すみません……気付かなくて」
残りの破片を急いで拾おうと手を伸ばすと、寸前で店長が私の手を掴んだ。