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Blindfold
第11章 正体
困り果てて、少し歪んでいたベッドのシーツを正した。
そして、ふぅ…と息を吐く。
「……私も……昨日はすみませんでした…」
「…なんでお前が謝るんだよ」
「なんでって…」
そりゃあ…
「まさか、あんな雨の中で待ってるなんて、思いもしなくて…」
昨日は本当に久々にひどい雨だった。
それに気温も低くかったし、あんな中一晩越したなんて本当に考えられない…
「あれは…俺が勝手に待ったんだよ」
「でも…」
「悪いのは俺だけだ。だからお前が謝んな」
店長が動いたせいで、弾みで手と手が触れてしまった。
それだけなのに、トクンと心臓が高鳴ったのが分かった。
「困ったら俺のところに来いとか言ったくせに…。逆に戸惑わせて本当に悪かった」
どう答えたらいいのか分からない。
仕方なく小さく頷くと、店長は優しく笑って良かった、と呟いた。
やはり真意が汲み取れない。
しきりに謝られても、身の振り方が分からなくて複雑な気持ちが湧いてくる。
それが何故か居心地が悪い。