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Blindfold
第11章 正体
「あの……」
「なんだ」
「えっと……その…離婚…は…」
「ん?」
「……やっぱいいです」
聞きかけて止めた。
何でも聞けっていうから、気になったことを考えもせずに口に出してしまった。
「だから、お前がそうやって遠慮して聞いてこねぇんだろが」
「何ですかその言い方っ…」
「隠してるとか言って俺を責めてるけど、結局お前が聞いてこねぇだけなんだよ」
「………別に責めてないです」
本筋から反れた返事をして誤魔化す。
実際は、納得してしまったからバツが悪い。
「……俺が悪りぃんだよ」
突然話し出した店長の言葉を黙って聞く。
そういえば、苦しそうだった息も落ち着いてきているし、大分快復したみたいだ。
「結婚してるのに『性に合わねぇ』とかいう馬鹿げた理由で会社をやめるなんて、今考えたら本当にただのアホだ」
それが馬鹿げた理由なのか、会社勤めをしたことのない私には分からない。
「そりゃあそんな旦那には愛想尽かすわな。当たり前だよ。俺が逆の立場だったら許せねぇ」
「…ふーん……」
「お前も…大人になったら分かるよ」
「大人ですよもう」
まぁ店長にとって、私は未熟な子どもなのかもしれないけど…。