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Blindfold
第11章 正体
腕をすっと出すと、店長は不思議そうに私を見つめた。
「鍵、貸して下さい」
「鍵?」
コクと頷くと、店長は片眉を上げた。
「鍵ってなんの」
「なんのって、そりゃあお店の」
「なんで」
通じない人だ……。
呆れながら、一旦手を下ろす。
「仕込みとか、色々あるでしょ」
「……何言ってんだよ」
「今日は私がやります。だから」
ほら、と言いながら再び店長の前に手を差し出した。
私は悪くないといくら言われても、やっぱり少しは責任を感じる。
せめて私にできることくらいは…
「バカいうな。さすがに今日は閉めるよ。だから何もしなくていい」
そっぽを向かれたせいで、また私の手だけが虚しく宙に浮いたままになっている。
何もしなくていいって言われてもね…