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Blindfold
第11章 正体
随分と顔の整った人だった。
黒髪が靡いて、その隙間から覗く瞳。
視線が合わない。
それに少し違和感を覚えて思わず首をかしげる。
「申し訳ない……」
「いえ……」
私の方を見ているよう見ていない。
彼は丁寧に会釈をすると、再びステッキを前に出して、カツカツと床をつく。
少し悲しそうなその背中。
あぁ…
そうか。彼、目が見えないのか…
あのまま、しっかり帰れるのだろうか。
お節介な心配をしながら彼を見送る。
そして見えなくなったところで私は再びお姉ちゃんの病室へと足を進めた。