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Blindfold
第11章 正体
薄情だ…という気持ちが一瞬湧いて消えた。
お姉ちゃんの立場になったら、そりゃあそう思うだろう。
寝て起きただけなのに、「良かった」って何度も言われながら泣かれても、そのテンションの違いについていけなくなってしまう。
それは少し想像すれば分かることだ。
「……少し怖い」
「何が?」
「だって、1日だと思ってたら本当は2年なんだよ?」
「………うん…」
「和明に最初言われた時は、信じられなかった。そんな訳ないし、きっと逆だって思ったの」
「どういうこと?」
「私が、間違えてるんじゃなくて、和明が間違えてるんだって…」
間違えてる…?
「私が2年を1日と勘違いしてるんじゃなくて…和明が1日を2年だって勘違いしてるんだって──」
まるで何か術をかけらたような気分だった。
どっちの時空が正しいか………
基準次第の儚い時空──