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Blindfold
第11章 正体
何も言えなかった。
お姉ちゃんになろうとしていたことが、お姉ちゃんにバレている気がして、それが恥ずかしかった。
「桜……幸せ?」
「……なんで?」
「なんか、悲しそうに見えたから」
私は今、悲しいのだろうか。
「そんなことないよ」
本当に?
自問自答して、閉じ続けていた私の中の扉が開きかけた。
「お姉ちゃんが起きてくれて……本当に──」
それは突然私を襲った。
目が急に熱くなって抑え込むことすらできない。
昨日流れなかった涙が、今さら溢れて、意図せずして頬に流れ落ちた。
「っ……ぅっ……」
私はお姉ちゃん子で、小さいときからいつもお姉ちゃんにくっついていて…
「桜まで泣かないでよ」
ようやく笑ったお姉ちゃんを見て、何かが解放された。
そのまま崩れ落ちて、お姉ちゃんのベッドにうつぶせる。