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Blindfold
第11章 正体
「っ……お姉ちゃんっ……」
「もう大丈夫だから……」
優しく頭を撫でられたせいで、余計に涙が止まらない。
こんなに辛い2年間はなかった。
お姉ちゃんだけじゃなくて、自分まで見失って、
大好きなお姉ちゃんなのに、目覚めないのなら、死んで欲しいとまで思ってしまった…
「ごめんね…」
謝らなくてはいけないのは私だ。
ずっと私はお姉ちゃんが妬ましかったんだろうか。
優しく微笑むお姉ちゃんの前では、そんな醜い自分がより浮き彫りになってしまう。
「かずにぃはっ……」
その名前を口にするだけでも苦しい。
「かずにぃはずっとっ……お姉ちゃんの傍にいたよっ……」
私と身体を重ねても、かずにぃの心はずっと目を覚まさないお姉ちゃんに向けられていた。
私はただ、弱みにつけ込んで、そして物事を複雑にかき回しただけだ。