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Blindfold
第12章 風
「昨日は、ありがとな」
「ああ……全然…」
看板出して、ちょっと掃除しただけだし。
昨夜、お店に行ったら、割れたままのグラスがそのまま床に散らばってた。
それで一気に何があったのか思い出してしまって……
「おい、大丈夫か?」
「えっ…あ…」
「なんか、顔紅いけど……」
「走ってきたんで…っ」
「なんだその嘘は」
まんまと見破られて、言葉に窮す。
バカだ。
たかがキスで、こんなに意識しているなんて。
しかも相手は店長だ。
「もしかして、お前も風邪か?」
「違います…!」
店長が私に触れようとしてきたのを瞬間的に避けて、私は店長に背を向けた。