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Blindfold
第12章 風
もう忘れよう。
昨日店長はあんなに謝ってきたんだから…。
わだかまりを自分で作っているような気分になって、私は足を前へ進める。
「いい天気ですし…散歩しましょう」
「……別にいいけど」
その表情から、明らかに不審がってるのが分かる。
でも、私は、そんなのお構いなしで店長の前を早歩きで進んでいた。
その歩調に、店長が追いつく。
「なんか、お前急いでる?」
「いや、すみません」
ペースを落として、横を歩く店長を見た。
何となく違和感を感じて、それが何に対してなのかを探る。
「タバコすいてぇ…」
「明日退院なんでしょ。あと少しなんだからそれくらい禁煙してください」
わーかっているよ、と頭を掻く。
長めの黒髪が太陽に反射して…
ああ、そうか。