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Blindfold
第13章 つぼみ
「私…今までずっと感情とか、気持ちとか……そういうもの全部押し殺してきて…っ」
「……知ってる」
言葉に詰まった私の頭に、店長の大きな手が乗った。
「こっちはずっと見てきたんだ。知ってるに決まってんだろ」
「────…」
「よく頑張ったな。この2年間…」
優しく微笑まれて、ジワっと涙が浮かんだ。
張り詰めていた気持ちがようやく本当の意味で解放されているのが分かる。
スルリと、店長の手が下りてきて、私の頬を包み込んだ。
そして、親指がゆっくりと私の頬を撫でる。
日向ぼっこをしているような、そんな温かさ。
「てんちょっ…」
油断するとまた涙が出そう。
もう泣かない。
だから懸命に堪える。