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Blindfold
第13章 つぼみ
俯こうとしたら、私の名前を店長が囁いた。
「あのなぁ、泣きたい時は泣いた方がいいぞ」
「………っ」
「お前は自分の感情を誤魔化しすぎなんだよ。素直になれ」
素直に……
「嬉しい時は笑って、悲しい時は泣いて、ムカつく時は怒って…まぁ俺みたいに人を殴ったりはしない方がいいと思うけど」
「…………」
「とにかく、そうした方が身体にいい」
そしてまた、店長は飛び切りの笑顔を見せた。
「もし、吐き出す相手がいないんだったら、全部、俺が受け止めてやる」
「────っ…」
心が震えるのが分かった。
嬉しくて、その安堵感からゆっくりと目を瞑ると、ハラリと涙が出た。
「そうやってっ……泣かせようとしてるんでしょ…っ」
「いーから」
「良くないです…!もう泣かないって決めたのにっ…」
「だからーそうやって強がんなって言ってんだよ。悲しいうちは泣いとけバーカ」
止まらない涙を拭いながら、想いが溢れていくのを感じた。