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Blindfold
第13章 つぼみ
あの…かずにぃとの一件があってからどうも調子がおかしい。
これではまるで店長に恋をしているみたいな…
「お待たせしました」
グラスをテーブルの上に置いて一礼する。
辺りを見回せば見たことのある人ばかりだ。
遠くから、カウンターでお酒を作りながらお客と話す店長を見つめた。
きっと、心配したとか、身体を大切しろとか、言われてるんだろう。
手元は素早くても、少しだけ申し訳なさそうにしているのが分かる。
「ホント、この店潰れたらどうしようって焦ったわ〜」
「分かる! ここはオシャレだけど気取った感じじゃないし、こういう雰囲気の店なかなかないんだよなぁ…」
私の立っていた脇のテーブルで、サラリーマン2人がそう言いながら乾杯している。
このお店は意外と愛されてるようだ。
「……なんて言ったって、あのマスターがいい」
サラリーマンがそう続けたので、私は思わず彼のことをハッと見てしまった。
バチっと、目が合ってしまって、私は彼の空いたグラスに視線を落とした。
「………飲み物、何かお持ちいたしましょうか?」
「あ〜……えっと…桜ちゃんだっけ?」
「そ、うです」