この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Blindfold
第13章 つぼみ
覚えられてたんだ…
「お店再開、おめでとうね」
「ありがとうございます…」
まるでお店のオーナーみたいな気分で頭を下げる。
でも、本当に再開してよかったし、それを祝ってくれるお客がいることも幸せなことだ。
時給がいいのと、名前に惹きつけられたという理由で始めたバイトだったけど、こんなに自分の居場所になると思わなかった。
しみじみしていると、店長からまた名前を呼ばれた。
「同じのくれる?」
「かしこまりました」
笑顔で返して小走りでカウンターの方に戻る。
「……絡まれてたのか?」
溜まってしまったグラスを裏に下げていると、店長が私にしか聞こえない声で囁いた。
「え?」
少し長い、店長の黒髪がフワリと揺れる。
「あの、男二人」
チラと目配せされた方に、自然に視線を流す。
「あー…。いやいや。お店の再開おめでとうって言ってくれただけです」
「……そーか」