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Blindfold
第13章 つぼみ
「…なんできたの?」
樹が、このお店に来た来たことはない。
今さらの初来店だ。
「薫ちゃんの目が覚めたって、お袋から聞いた」
「……あぁ」
誤魔化すように、時計を見た。
もう夜も深まっている。
少し前までごった返していたお店が落ち着きを見せ出している。
「で、お前が、大丈夫かなって…」
樹は、私の表情を見ようと覗き込んで来た。
「……大丈夫だよ」
そう答えながら、お姉ちゃんが目を覚ました日のことを思い出していた。
かずにぃが飲んでいたチューハイの柄。
部屋に置いてあった、傾いた結婚式の写真。
震えていた彼の背中──